徳洲新聞2025年(令和7年)11/17月曜日 NO.1518より
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高砂西部病院(兵庫県)は以前から身体拘束防止に取り組み、実施率0~1%台を維持している。徳洲会グループ内外の施設からも関心が寄せられ、直近3年間で7施設17人の見学を受け入れ、昨年度に発足した「関西ブロック認知症看護認定看護師部会」のメンバーと、4施設を巡回した。能美順子・看護師長(認知症看護認定看護師)は、成果の主な要因に①スタッフ教育、②認知症ケアチームの活動、③マニュアル・指針の共有、④センサー機器の活用――を挙げる。

「患者さんの尊厳と安全を今後も大事にしたい」と能美・看護師長

認知症ケアチームのカンファレンス。身体的拘束最小化チームの活動も
身体拘束は、本人の行動を当人以外の者が制限することとされ、本人の尊厳を守る観点から、国は医療・介護施設に対して最小化する取り組みの強化を求めている。原則、「切迫性」(本人または他者の生命や権利などを脅かす)、「非代替性」(代わりの方法がない)、「一時性」(一時的に行動制限を行う)のすべてを満たし、かつ慎重に手続きなどをふまえたケースにのみ例外的に認められる。
高砂西部病院は許可病床数219床、ケアミックス病院として急性期から回復期、在宅まで切れ目のない支援を行っている。高齢の患者さんが多いことから、認知症対応に力を入れているのが特徴だ。
もうひとつ注力しているのが身体拘束の防止・廃止。直近5年間の実施率(18歳以上)は0~1%台で推移し、ある病院団体のデータをもとに分析したところ、同規模病院の全国平均などよりも低いことがわかった。
その要因について、能美・看護師長は①スタッフ教育、②認知症ケアチームの活動、③マニュアル・指針の共有、④センサー機器の活用――を指摘。①は、とくに看護師に対して行い、ラダー研修(段階的に成長を促す教育システム)に高齢者疑似体験やパーソンセンタードケアの理解、身体的拘束体験、病棟の現状分析(倫理的なケアの質向上)といった内容を適宜取り入れ、拘束に頼らないケアを実践できる人材を育成。
②は、認知症サポート医、認知症看護認定看護師、社会福祉士、作業療法士、言語聴覚士、薬剤師、管理栄養士などをメンバーに、13年に発足。現在は身体的拘束最小化チームとしても活動し、病棟巡回やカンファレンスなどを通じて、チーム全体で課題解決を図るようにしている。
「もちろん、三要素(切迫性、非代替性、一時性)に基づいて判断したり、家族説明、医学的判断、リハビリテーション、環境調整といった代替手段も検討したりしています」(能美・看護師長)。
各専門職が講師を務め、院内での研修会も実施している。
③は同チームが医療安全管理部門と連携し、身体的拘束に関するマニュアルの周知徹底に尽力。順守状況の確認や記録内容の共有を図った。加えて、電子カルテ上に拘束指針を明示するなどして、組織文化を醸成していった。
④は、すべてのベッドを低床、離床センサー完備に更新。車いすの座面にもセンサーを導入した。各センサーの感知レベルは患者さんの状況などによって変えられ、どの看護師でも適宜、設定を変更できるようにフローチャートも作成。安全確保と拘束回避を両立し、看護師の心理的負担軽減にもつながった。センサーの活用が進むにつれ、年々、転倒・転落率や重度損傷件数も減少傾向にある。
取り組み重ね“文化”に
能美・看護師長は「拘束実施率低減の背景には、10年以上かけ、教育による人材育成、チームでの活動、そして医療安全管理部やその他委員会による組織横断的な取り組みがありました。これらが基盤となり、一人ひとりが主体的に考え、動ける仕組みを構築、その積み重ねによって、“拘束しない文化”が病院全体に浸透してきました」と振り返る。
こうした自院の取り組みを、能美・看護師長は第56回日本看護学会学術集会(9月12~14日、名古屋市)で演題発表。「評価と振り返りを重ね、患者さんの尊厳と安全を守り続けていきたいです」と、今後に意欲を見せた。
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徳洲新聞2025年(令和7年)11/17月曜日 NO.1518より
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