仙台徳洲看護専門学校「災害看護」への理解を促進 消防署と合同で多数傷病者対応訓練

徳洲新聞2025年(令和7年)11/10火曜日 NO.1517より
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仙台徳洲看護専門学校は9月25日、仙台市消防局太白消防署、同宮城消防署と合同で、同校体育館などキャンパスを活用し、2025年度多数傷病者対応訓練を実施した。2年生の42人全員と、足沢美由貴校長や大友正子・教務主任ら教職員10人、消防署から44人が参加。複数の緊急車両を持ち込み、大型テント式の現地救護所を設営するなど大がかりな訓練を行い、災害看護への理解促進と災害対応力の向上を図った。学生は傷病者役と救護者役として参加した。

学生が傷病&救護者役・災害対応力向上も

消防隊員の指示の下、傷病者役の学生を担架に乗せて搬送

トリアージポストまで慎重に歩を進める

救護所内での消防隊員の動きを間近に見学する機会も

「現場はこちらです。天井が崩落し10人以上が負傷しています」

午前9時半、同校正面玄関は慌ただしい空気に包まれていた。駆け付けた消防隊員に同校の阿部友里枝教員が声をかけ、状況を簡単に説明したうえで、発生現場である体育館へと急いで案内した。

今回の訓練では地震発生により体育館天井が崩落し、多数の負傷者が発生したという被害を想定して実施。18人の学生が傷病者役を務め、24人の学生が6人×4班編成で救護者役を務めた。

同校は災害看護学習の一環で、毎年、多数傷病者対応訓練を消防署と合同で開催。将来、看護に携わる者として、傷病者役・救護者役として訓練に参加するなかで、多数傷病者発生時に「限られた人的・物的資源の状況下で、できるだけ多くの人の命を救う」ことについて考え、災害看護の学習(トリアージ[緊急度・重症度選別]、応急手当て、傷病者搬送体制)につなげるのが訓練実施の目的だ。

一方、消防署側の訓練目的としては、多数傷病者発生時の初動対応や効果的な部隊運用と円滑な搬送体制の確立、指揮系統と各活動部隊の連携強化、医療機関への搬送開始までの連携などだ。

冒頭の場面の続きに戻ろう。体育館へ駆け付けると、消防隊員が傷病者役に「痛いところはありますか」、「大丈夫ですか」、「何かにぶつかった記憶はありますか」など声をかけながら、慎重にトリアージを実施。なかには意識障害を認めた傷病者もいた。

現場にいたすべての学生のトリアージが終わると、隊員のひとりが「隊長、赤3人、黄3人です」と結果を報告。赤は最優先治療群(重症群)であり、緊急治療もしくは迅速な病院搬送が必要な傷病者だ。黄は、赤に次いで緊急度の高い中等症群。傷病者役の学生は、事前に受け取っていた症例カードの内容に合わせて演技を行った。訓練では、赤と黄以外の12人が緑(軽傷群)で、それ以外の24人はけがを負っておらず、救護者として活動できるという設定だ。

トリアージを行っている間にも、被災現場となった体育館に面したスペースには、消防隊がトリアージポスト(兼一時待避所)や現地救護所、指揮本部、救急指揮所を立ち上げ、医療機関への搬送を担う救急隊の救急車が、現場近くに待機するなど迅速に初動対応。

現場ではトリアージを行うと同時に、隊員の指導の下、救護者役の学生が担架を用いて傷病者の搬送を実施。6人1組となって、傷病者役の学生を担架に乗せ、途中にある階段を慎重に降りるなど安全な搬送を心がけた。

緑タグの軽傷者役は輸送車両内で待機し、体調確認を行ったうえで車両から降りて学校に戻った。

トリアージポストでは、より詳細な観察を行い、その隣に設営した現地救護所のベッドに寝かせ、搬送準備が整い次第、救急車で医療機関へと搬送――。ここまでの流れを訓練で行った。

まず自身の安全を最優先に

終了後には体育館に訓練参加者全員が集まって閉会式を実施。

足沢校長ははじめに、太白消防署、宮城消防署の関係者に対して謝意を表明したうえで「学生たちにとっては、初動や搬送に関して、とても参考になる訓練でした。机上ではなかなか身に付けるのが難しいことでも、実地訓練をとおして多くの学びがあったと思います。今回の訓練を、また一歩成長する機会としてほしい」と学生にエールを送った。

続いて、宮城消防署の荒井勲署長が、訓練に参加した学生や教職員への感謝を伝え、災害時の対応について「まず第一に自分自身の安全を最優先してください。第二に仲間を守り、そして第三に要救護者の救護にあたってください」と強調した。

終了後、訓練に参加した学生に話を聞いた。重症の傷病者役を務めた小田切桃花さんは「床に倒れ込んでいた時は目を閉じていたので、周囲の様子がわからない状況で不安がありましたが、消防隊員の方々が手を握ってくれたり、優しく声をかけてくれたりして、安心することができました。自分も看護師になったら、患者さんに安心感をもってもらえるよう、患者さんの立場に立って物事を考えていけるように、勉強を続けていきたいです」と抱負を語っていた。

また、救護者役で班のリーダーを務めた大友みさとさんは「自分の性格上、災害発生時には、傷病者のために何かしたいという気持ちが強く出て、自分の安全確保にまであまり意識が向かないと思うので、荒井署長が言われていた『まず自分自身の安全を最優先に考える』という優先順位のことなど、訓練を通じて多くの大切なことを学べました。また、一人ひとりの傷病者や患者さんに合わせた対応など行ううえで、声かけによるコミュニケーションの重要性も再認識しました」と振り返っていた。