看護のチカラ 医療的ケア児の看護に尽力 多角的活動で質向上へ貢献 Vol.3

徳洲新聞2025年(令和7年)10/27月曜日 NO.1515より
詳細は「徳洲新聞ニュースダイジェスト」をご覧ください。

現場で奮闘する看護師の活躍や信念を紹介する「看護のチカラ」。第3回は、全国でも少数の小児看護専門看護師(CNS)を紹介する。湘南藤沢徳洲会病院(神奈川県)には、ふたりのCNSが在籍、中澤淳子CNS(副主任)と永吉かおるCNSだ。専門性を生かした多角的な取り組みで、小児看護の質向上に貢献している

中澤淳子(左)、永吉かおる 湘南藤沢徳洲会病院(神奈川県) 小児看護専門看護師

電子カルテを見ながら医療的ケア児の看護計画を相談

小児科病棟で、優しく話しかけながら患児の状態を確認

専門看護師は、特定の専門分野で卓越した看護実践ができると、日本看護協会に認められた看護師。ふたりが力を入れているのが、増加する医療的ケア児のレスパイト(介護者の一時的休息)入院の受け入れだ。

中澤CNSは2012年に入職後、医療的ケア児の受け入れ体制構築に、スタッフや他部署との調整役として取り組んできた。小児看護の道から結婚・出産を機に、成人看護の分野にフィールドを移してきたが、入職と前後して「自分のやりたかったことをもう一度学び直したい」と大学に編入、大学院に進学し15年にCNSを取得した。

「外部のCNSなどと連携し研修を行うなど、スタッフが安心してケアできる基盤を1~2年がかりで整備しました。こうした活動が実を結び、現在、医療的ケア児の受け入れ入院日数合計は年間延べ約400日に達します」(中澤CNS)

一方、NICU(新生児集中治療室)・小児科・障がい児保育園などで経験を積んだ永吉CNSは、22年にCNSを取得し、23年に同院に入職。専門性を生かした成功事例として、恐怖心から酸素投与を強く拒否した5~6歳の男児への介入エピソードを挙げる。

「ネガティブな体験は治療全体に影響するため、強行的な処置は決して行わず、ポジティブな動機付けを徹底して大切にしています。患児の母親に頼み、過去に同じ処置を受けた時の写真を見せて成功体験を思い出してもらい、さらに、大好きなシールを身の回りに貼ったりして、スムーズな酸素カニューレの装着につなげることができました」(永吉CNS)

活動は多岐にわたる。看護倫理に関する研修会の企画・実施や、スタッフの学術活動の支援。さらに救急外来(ER)では担当医とともにオーバードーズ(過剰摂取)やリストカットなど思春期の問題に対応し、小児科医との連携では虐待が疑われる事例に介入。産科でも周産期カンファレンスに参加している。

「治療という困難を乗り越えた子どもたちが、処置後や退院時に見せる“誇らしげな顔”を見た時や、自分のケアが良い結果をもたらした時に、大きな達成感を感じます。ご家族からの『丁寧に看てもらえるから安心です』といった声も大きなやりがいです」と、ふたりは口をそろえる。子どもたちとその家族に寄り添い続け、小児看護の道を究める歩みは続く。

徳洲新聞2025年(令和7年)10/27月曜日 NO.1515より
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