土屋・湘南鎌倉病院副センター長 マイクロRNAで再発リスク迅速診断 AMED革新的がん医療実用化研究事業に採択

徳洲新聞2026年(令和8年)5/4月曜日 NO.1541より
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湘南鎌倉総合病院(神奈川県)の土屋直人・湘南先端医学研究所副センター長兼がん医療研究部主席研究員は、日本医療研究開発機構(AMED)の令和8年度「革新的がん医療実用化研究事業」に採択された。「がんの診断・治療技術開発に関する研究」のカテゴリーで、研究テーマは「バイオマーカーを用いたがん診断技術の確立と実用化に関する研究・周術期非小細胞肺がんにおける術後再発リスクおよび薬剤応答性を包括的に評価する迅速検査法の実用化研究」。

小林修三院長は今回の採択に関し、「がん診療連携拠点病院として、素晴らしい実績になりました。基礎研究に基づく高精度な診断・治療を推進することは、グループ全体の医療の質を向上させます」と強調。そのうえで、同院に土屋・副センター長を招聘したことは、「データマネジメントと基礎研究の第一人者であり、臨床医のみならず基礎研究者が病院で活躍するモデルケースになっています」と高評価。

「基礎研究の成果を臨床応用へ昇華させます」と土屋・副センター長

土屋・副センター長の研究は、がん細胞内で生じるマイクロRNAの構造多様性、すなわち「構造アイソフォーム」の異常に着目したものだ。先行研究では、がん細胞で特定の構造(miR-21-5p+Cなど)が優位に合成されることを発見し、その合成比率を「D-score」として数値化。このスコアを分析した結果、ステージ1や2といった早期の肺腺がんであっても、スコアが高い症例は、きわめて再発リスクが高いことが判明した。これはD-scoreが高い腫瘍が、細胞増殖能や転移能、免疫回避特性をもつ悪性度の高い遺伝子発現パターンを規定しているためだ。

今回の実用化研究では、このバイオマーカーを臨床現場で利用可能な「診断薬」として確立することを目指している。土屋・副センター長は「微量の手術検体から迅速かつ簡便、安価に再発リスクを予測することで、不必要な治療を避け、本当に補助療法が必要な患者さんに最適な医療を届けることが重要です」と説明。

また、「研究費の獲得によって、研究の継続が可能になったことは安堵しています」と謙遜しつつも、3年間の研究期間内に臨床性能を証明し、薬事承認申請まで進めるという高い目標を掲げている。

今後は肺がんのみならず他のがん種への応用や、薬剤の応答性評価などへと研究を発展させる考え。患者さんや臨床医からの評価、さらに徳洲会グループのスケールメリットを生かしながら、基礎研究の成果を臨床応用へ昇華させていく。

徳洲新聞2026年(令和8年)5/4月曜日 NO.1541より
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