前立腺肥大症に対する新たな低侵襲手術 「ウロリフト」沖縄県で初めて実施 南部徳洲会病院

徳洲新聞2026年(令和8年)09月28日 月曜日 NO.1562より 詳細は「徳洲新聞ニュースダイジェスト」をご覧ください。

南部徳洲会病院(沖縄県)は8月12日、前立腺肥大症に対する治療「ウロリフト」(経尿道的前立腺吊り上げ術)を実施した。沖縄県で初。同術式は侵襲が少ないため、従来法では手術が難しい高齢患者さんや併存疾患のある患者さんの治療の選択肢になる。一般的な泌尿器科用内視鏡(膀胱尿道鏡)設備があれば導入できる点も強みで、都市部と比べ専門医や高度・大型設備をそろえにくい離島・へき地医療との相性が良いのも特徴だ。徳洲会グループで実施施設が増えつつある。

前立腺は、膀胱のすぐ下にあり尿道を取り囲む臓器。この前立腺が加齢とともに大きくなって尿道を圧迫し、頻尿や残尿感といった排尿障害を来す病気が前立腺肥大症だ。80代男性では8割以上に見られるとされ、高齢化が進むなかで患者さんが増えている。

一般的に、治療は薬物療法となり、十分に改善しなければ手術を検討する。手術には、長らく主流となっているTURP(経尿道的前立腺切除術)や、レーザー手術などがあるが、前立腺組織を切除したり蒸散(焼灼)したりするため、出血量増加や尿失禁といったさまざまなリスク、さらに入院期間の長さや術後も再肥大に備え長期にわたり尿道カテーテル(管)を留置するなど、負担があった。勃起や射精など性機能に影響が及ぶ可能性もあり、患者さんが治療をためらう一因にもなっていた。

ウロリフトは2022年に保険適用された比較的新しい治療法。膀胱尿道鏡と専用のデバイスでインプラント(体内に埋め込む人工材料や部品)を肥大した左右の組織に運び、吊り上げることで尿道を物理的に押し広げる。手技そのものに要する時間は20分程度。前立腺組織の切除や蒸散(焼灼)などは行わないため、従前の手術よりも出血や尿失禁といったリスクは少ない。

性機能を温存しやすいのも利点のひとつだ。入院期間も、術後の状態によるがTURPが1週間ほどだったのに対し、ウロリフトは1泊2日ほど。尿道カテーテルも基本的に手術翌日に抜去するなど、患者さんのQOL(生活の質)向上も期待できる。ウロリフト直後の合併症として、排尿時の違和感や頻尿、尿意切迫感などが挙げられているものの、多くは自然と改善する。

9月9日にはウロリフト2症例目を実施。治療は15分程度で終了

「多くの患者さんの負担軽減やQOL向上をサポートしたい」と吉岡医師

ウロリフトの手技に要する時間は20分程度

徳洲会グループ内で広がり

南部徳洲会病院は、吉岡拓哉・泌尿器科医師が7月頃にウロリフト導入に向け、向山秀樹・副院長兼泌尿器科主任部長ら同科医師と準備を開始、8月12日に初症例を実施した。吉岡医師が執刀し、9月9日には2例目を手がけた。いずれも高齢の患者さんで、経過は順調だ。

「当院には、年齢や複数の持病を理由に従来の切除手術が難しい方、あるいは従来の手術を受けて尿道カテーテルを長期にわたって留置している患者さんが少なくありません。患者さんの負担軽減や生活の質向上を実現したいと考え、ウロリフトの導入を決めました」(吉岡医師)

吉岡医師は「本土に比べ、沖縄県は前立腺肥大症に対する低侵襲手術の選択肢は限られているのが現状」と指摘し、ウロリフトの導入しやすさを強調する。

「他の低侵襲手術に比べウロリフトは機器が小型。手技の習得も、TURPなどは技術が安定するまでに50例ほどの経験が必要と言われていますが、ウロリフトは専用デバイスの製造・販売業者による事前のeラーニングと約2時間の実技講習、1例目から15例目までの立ち会いで、基本的にはインプラントを打つ位置が押さえられるようになります」と吉岡医師。

導入のハードルが低いウロリフトは、都市部に比べ専門医や高度な機器を確保しにくい離島・へき地の医療とも相性が良いと言え、徳洲会グループでも導入が広がっている。

徳洲新聞2026年(令和8年)09月28日 月曜日 NO.1562より 詳細は「徳洲新聞ニュースダイジェスト」をご覧ください。