徳洲新聞2026年(令和8年)10月12日 月曜日 NO.1564より 詳細は「徳洲新聞ニュースダイジェスト」をご覧ください。
湘南鎌倉総合病院(神奈川県)は、4月に特定臨床研究として開始したBNCT(ホウ素中性子捕捉療法)の体制強化を図っている。同院はグループ内外からの受け入れをさらに強固にし、先端的な医療をより多くの患者さんに届けるための取り組みを精力的に展開。具体的には、受診窓口の拡充や多職種カンファレンスの定例化など、患者さんが迅速・安心に治療に移行できる環境整備に注力している。
BNCTはホウ素を含む薬剤を点滴し、がん細胞に選択的に取り込ませた後、体外から中性子線を照射して生じる反応を利用した治療法だ。この反応によって生じる放射線は、細胞1個分程度の距離しか届かないため、まわりの正常組織に及ぼす影響を極力抑えつつ、がん細胞を選択的に攻撃することができる。
実臨床では国内6施設目、世界でも10施設目。湘南鎌倉病院のBNCT装置は一定の条件下で従来装置と比較すると、中性子線の出力が約3倍という高出力型で、国内では初導入。国外ではフィンランドのヘルシンキ大学病院のみが有する。
小林修三院長は「BNCTは原則1回で完了し、通院などによる日常生活への負担を軽減します。頭頸部以外にも、全身の幅広い悪性腫瘍を対象としており、手術が難しい患者さんの治療の選択肢を広げると期待されています」とアピールする。
同院では現在、特定臨床研究としてBNCTを実施。「画像検査により、がんにホウ素薬剤が集まりやすいことが確認された方」、「手術が困難」、「再発や局所進行により、従来の治療が適応しにくい」などの条件を満たした患者さんが対象。18歳以上で、病変が照射野内にとどまっていることも条件だ。ただし、これに該当しない場合であっても、自由診療として相談に応じている。
2年間で50例の登録を目指し臨床データの蓄積を推進中。すでに脊髄腫瘍や喉頭がん再発、頭部血管肉腫といった難治症例に対し治療を行い、いずれの症例でも腫瘍の縮小が見られ、重篤な副作用は認められなかった。
大村素子・放射線医療センター長兼放射線腫瘍科主任部長は、「放射線治療の再照射が難しい方や、他の治療手段が限られた患者さんにとっても、BNCTは有効な選択肢となり得ます。ひとりでも多くの必要とする患者さんに、この治療を届けていきたいです」と意欲的。
熊澤麻衣・放射線腫瘍科医師も、「標準治療後に再発した治療抵抗性の腫瘍に対しても、BNCTによって腫瘍の縮小が認められています。また、副作用も比較的少ない印象で、BNCTの有用性を臨床の現場で感じています」と手応えを感じている。
同院では脳神経外科をはじめ各診療科から、BNCTへ患者さんを紹介する多科連携を行っている。中村大志・脳腫瘍・頭頸部腫瘍センター長兼脳腫瘍外科部長は、「悪性脳腫瘍の患者さんは不安も強く、標準治療後の再発で治療選択肢に困っているケースが多くあります。初発の段階から将来の選択肢としてBNCTを提示しつつ、信頼関係を築きながら最後の砦としてしっかり支えていかなければなりません」と語気を強める。
さらに、渡辺剛史・副院長兼脳神経外科主任部長は、「一民間病院でありながら、先端的な医療機器を導入し、大学病院レベルの高度ながん医療に挑む姿勢は、当院の大きな強みと言えます。多職種が一体となり、安全で確実なBNCTを地域や全国の患者さんに届けていきたいと思います」と決意を語る。

専用のCT(コンピュータ断層撮影)装置を備えたBNCT治療室

(左から)大村・主任部長、熊澤医師、澤木・主任部長

「高度ながん医療に挑む」と(左から)渡辺副院長、中村センター長

BNCTの診療推進を強力に進める大橋室長

多職種カンファ開催で対応迅速化 相談フォーム開設し受け入れ拡充
臨床による成果の一方で、受診に至るまでの体制整備や情報発信は、さらなる強化が求められている。BNCTの存在や適応可能性を広く周知することは、普及に向け欠かせない。医療関係者や一般の認知度は、まだ十分とは言えず、グループ病院からの患者紹介も限られている。
こうした現状に対し、同院ではBNCTサポートデスクでの対応に加え、新たにWEB相談フォームを開設。がん診療の窓口としての役割を果たす澤木明・腫瘍内科主任部長兼がん患者総合支援センター長は、「BNCTに興味をもって来院いただいた患者さんに対し、万が一適合しない場合でも、当院であれば手術や薬物療法など他の適切な治療を提案できる体制を整えています。患者さん一人ひとりに最適な医療を提供したいと考えています」と力を込める。
また、7月にBNCT診療推進特命プロジェクトリーダーに任命された大橋恵・経営戦略室長は、「チーム医療としての情報共有やフォローの面で、院内体制の整備を進めています。患者さんが安心・スピーディーに治療を受けられるよう、環境を整えていきます」と現状の課題と展望を示す。同院では医師や医学物理士に加え、看護師や診療放射線技師、事務職員も含めた多職種カンファレンスを定期的に開催、運用やフォロー体制のブラッシュアップを図っている。
多職種がひとつとなって患者さんに寄り添い、特定臨床研究の症例を積み重ねエビデンスを構築していくことが、BNCTのさらなる普及につながる。同院は困っている患者さんに、先端的医療の機会を届けるべく、さらなる体制強化を進め、取り組んでいく。

BNCTのWEBサイトを開設し「患者さん・ご家族の方」、「医療機関の方」、「海外からのご相談」の3つの相談フォームを用意
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- 日本臨床救急医学会 徳洲会グループから37演題 多職種が多様なテーマで発表
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徳洲新聞2026年(令和8年)10月12日 月曜日 NO.1564より 詳細は「徳洲新聞ニュースダイジェスト」をご覧ください。



