湘南厚木病院 循環器内科の診療体制強化 不整脈や虚血性心疾患まで幅広く対応

徳洲新聞2026年(令和8年)09月21日 月曜日 NO.1561より 詳細は「徳洲新聞ニュースダイジェスト」をご覧ください。

湘南厚木病院(神奈川県)は地域密着型の急性期病院として診療機能の拡充に努めている。そのひとつが循環器内科の強化だ。以前は非常勤医師を中心とする診療体制だったが、昨年12月に着任した小山右文・循環器内科部長を含め常勤医師2人体制となり、狭心症や心筋梗塞など虚血性心疾患から心房細動など不整脈治療まで幅広い領域で専門的な治療に注力。厚木市内で唯一の同院心臓血管外科と連携を図り、ハートチームとして今後、より高度な治療にも取り組みながら、いっそう地域医療に貢献していく考えだ。

ハートチームで地域完結を目指す

湘南厚木病院循環器内科に常勤医師として着任したのは小山部長と佐藤大介医師。ふたりとも日本循環器学会専門医や日本心血管治療インターベンション学会認定医などの資格をもち、救急医療をはじめ、さまざまな領域でハイボリュームセンターとして知られる湘南鎌倉総合病院(神奈川県)が前任地。これまで多数の症例を経験し技術を磨いてきた。

小山部長と佐藤医師はそれぞれ得意とする専門領域を分担し、狭心症や心筋梗塞といった虚血性心疾患から、心房細動をはじめとする不整脈疾患まで、幅広い循環器内科疾患に対する診療を展開している。

小山部長は「これまで非常勤の先生方がカテーテル治療を実施してきましたので、設備は整っており、看護師や臨床工学技士、診療放射線技師などスタッフも心臓カテーテルの関連業務に慣れていて、とても協力的でスムーズにスタートを切ることができました。地域の患者さんが市外に出ることなく地元で治療を完結できるよう、高度な医療を含めて提供していきたい」と意気込みを見せる。

小山部長の専門は不整脈治療で、同院の診療の柱のひとつ。とくに不整脈の一種である心房細動の治療に注力し、カテーテルアブレーション(心筋焼灼術)を積極的に施行している。

「地域で完結できるよう高度な医療を含めて提供」と小山部長

循環器内科診療の柱としてカテーテルアブレーションに注力

心房細動は動悸や息苦しさ、胸の圧迫感、めまいなどの症状が現れることが多く、無症状(自覚症状がない)の場合も少なくない。放置すると心原性の脳梗塞などにつながる恐れがある。

薬物療法が効かない心房細動に対する根治療法がカテーテルアブレーションで、不整脈の発生源となっている心臓内の部位を、専用のカテーテルで焼灼し根治を目指すという治療だ。

循環器診療のもうひとつの柱が、狭心症や心筋梗塞などに対する心臓カテーテル治療(PCI=経皮的冠動脈形成術)。佐藤医師が手がけている。狭心症は心臓に酸素や栄養を送る冠動脈が動脈硬化などで細くなる疾患で、階段を上がった時や早歩きをした時などに「胸が締め付けられる」などの症状が現れる。心筋梗塞は、冠動脈が突然詰まり、心臓の筋肉がダメージを受けてしまう重い疾患。

「循環器疾患は生命にかかわることが多く、早期発見・治療が重要です。気になる症状があれば心房細動や狭心症が隠れていることがありますので、お気軽にご相談ください」と小山部長は呼びかけている。

続けて小山部長は「心房細動に対し当院は現在、高周波アブレーションを施行していますが、2024年9月に保険適用となった新しい治療法であるパルスフィールドアブレーション(PFA)の導入を目指しています。PFAは特殊な電気パルスで心臓の標的部位(心筋細胞)を選択的に治療する新しい技術で、従来のような点ではなく面で焼灼していくイメージですので治療時間が短く、また熱を発生させないため心臓の周辺組織に影響を及ぼす可能性が低いことから、より安全性が高いなどのメリットがあります」と説明する。

救急受け入れ体制も拡充

植え込み型除細動器(ICD)やリードレスペースメーカー、ロータブレーターといった高度な治療の導入も視野に入れている。ICDは皮下に植え込み、つねに心臓の動きをモニターし、致死性の異常な脈を検知した場合には電気刺激を与えて正常な心拍に戻す医療機器。

リードレスペースメーカーは、カプセル型の小さなペースメーカーをカテーテルで心臓の右心室へ送り込み、心壁にフックなどで固定して電気刺激を与え、心臓の規則正しい収縮をサポート。ロータブレーターは石灰化により狭く硬くなった冠動脈に対して行うカテーテル治療のひとつで、専用カテーテルの先端にあるダイヤモンドコーティングされた金属部分が高速回転し、血管内の石灰部分を切削する。

これらは、循環器内科の専門医に加え、常勤の心臓血管外科医師の在籍が施設基準に含まれていたり、同科医師によるバックアップ体制の確保が望ましいとされていたりする治療法だ。

同院は榊健司朗副院長が率いる心臓血管外科と循環器内科がハートチームとして一体となって治療を推進。「たとえば狭心症であれば、カテーテル治療で行うのが良いか、それともバイパス手術を行うべきか、両科の医師が合同カンファレンス(症例検討会)を開き、より良い治療方針を決定するために検討を行っています」(小山部長)。また外科手術前の心機能の評価や術後に不整脈が発生した場合には循環器内科医が対応するなど、連携する場面は少なくない。

循環器内科が常勤体制となり、救急搬送の受け入れ体制強化にもつながった。同院は厚木市の二次救急輪番病院の第一当番病院として、1週間のうち月曜と水曜の2日間の夜間救急を担当。循環器内科では当番日に当直体制を敷き、他の平日日勤帯にもホットラインを通じて救急の受け入れに尽力している。

徳洲新聞2026年(令和8年)09月21日 月曜日 NO.1561より 詳細は「徳洲新聞ニュースダイジェスト」をご覧ください。