宇治病院が四肢接合センター開設 京都府で初 地域医療に大きく貢献

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徳洲新聞2020年(令和2年)11/23月曜日 NO.1263より
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宇治病院が四肢接合センター開設
京都府で初 地域医療に大きく貢献

宇治徳洲会病院(京都府)は10月1日、四肢接合センターを開設した。同センターは切断指や切断肢、血管、神経、腱(けん)損傷など重篤な四肢外傷に対し、マイクロサージャリー(顕微鏡を使った手術)を主とした治療を行い、早期再建、患者さんの社会復帰を目指す。京都府にある共和病院で長らく同治療を行ってきた形成外科医師3人が宇治病院に移籍、このうち髙田聡医師が同センター部長に就任。地域医療に一層の貢献を果たす。

高度救命救急センターへ前進

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「フットワーク軽く対応したい」と髙田部長

これまで京都府内の指の切断症例は、ほとんど共和病院で対応していた。しかし、同院にはICU(集中治療室)がなく、手首・足首よりも近位部(体側)での切断、外傷合併切断には対応できないという課題もあった。

こうした状況に対し宇治病院の末吉敦院長は「大阪府や滋賀県でも四肢接合可能な病院に医師を派遣している京都大学医学部附属病院形成外科教室と話し合った結果、救命救急センターである当院に、共和病院から3人の医師が移籍し、四肢接合センターを開設することになりました」と経緯を説明する。

髙田・四肢接合センター部長は「宇治病院では切断指の再接着だけでなく、対象を拡大して対応していきます。患者さんはほとんど労災で、労働環境の改善により、以前ほど重症例は少なく、件数も少なくなってきました。しかし、どうしてもヒューマンエラーはなくならず、0件になることはないと思います。四肢の切断といった大きな事故に対し、しっかりと向き合っていきます」と意欲的だ。

同センター開設にあたり新規導入した医療機器はなく、年間100例を超える手術対応で培った技術によって手術を遂行する。ただし切断指は受傷後に時間が経過するほど再接着が難しくなるため、手術室を優先して使用できるように調整することが必須。髙田部長も「フットワーク軽く対応したい」と話す。

術後の経過が悪ければ再手術することもあるため、その見極めを病棟の看護師がサポートできるよう実地で指導していく。また、リハビリテーションでは「この関節を動かしてほしい」など具体的に指示を出すが、技術の底上げには経験を積み重ねることが重要という。

髙田部長は「外傷は一人ひとり同じものはないので、看護、リハビリともにマニュアル化は難しいです。ただし、特殊な技術は必要なく、慣れれば誰でも対応できるようになると思います」と期待を寄せる。

今後はマーケティング活動に力を入れていく。四肢接合は対応可能な病院が少なく、同センターをもつのは京都府内では同院のみのため、搬送の過程で最終的に同院にたどり着くかもしれないが、受傷から手術までの時間を短縮するにはスムーズな搬送が不可欠。そのため救急隊や地域の整形外科クリニックなどへの周知が欠かせない。

開設した10月1日から1カ月余りで、搬送患者数は16人。髙田部長は「コロナ禍で患者数は少ないですが、目標は1年に100件の手術に対応することです。ただし、患者さんの社会的背景によっては、入院やリハビリを望まないケースもあります。一人ひとりの患者さんにとって最適な治療を目指します」と意気込みを見せる。

京都府には高度救命救急センターに指定されている病院がないのが現状。同センターには四肢接合、熱傷、中毒への対応力が求められるため、「四肢接合センター開設により、高度救命救急センター指定に大きく前進したと思います」(末吉院長)と展望している。

 

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