湘南鎌倉総合病院 国内初ブタ腎移植の治験へ 2028年開始目指し記者会見開く

徳洲新聞2026年(令和8年)7/27月曜日 NO.1553より
詳細は「徳洲新聞ニュースダイジェスト」をご覧ください。

湘南鎌倉総合病院(神奈川県)は7月21日、国内初となる遺伝子改変ブタ腎移植の企業治験実施に関する記者会見を院内で開いた。先行する米国での治験データをベースに、同院と北海道大学病院で2028年の企業治験開始を目指す。会見当日の午前中、ドナーブタを用いた腎摘出プラクティス(訓練)を行い、治験開始に向け着々と準備を進めていることをアピールした。

冒頭、小林修三院長(医療法人徳洲会副理事長)は午前中に明治大学の関連施設でドナーブタを用いた腎摘出プラクティスを終えたことを報告した。

明大発の医療ベンチャーで治験依頼元であるポル・メド・テックの三輪玄二郎社長は、米国での治験状況と日本でのシナリオを説明した。米国では、同社が扱うクローンブタを用いて4例の治験を実施。最初の3例でFDA(米食品医薬品局)の有効性基準(24週間以上の透析離脱)をクリアしたことから、6月に4例目を実施。

日本では、米国の治験データを活用し、湘南鎌倉病院および北大病院で28年の治験実施を目指す。ドナーブタの製造や専用施設の整備、医師によるプラクティスも進めており、治験結果をふまえて再生医療等製品としての条件付き承認申請も予定している。

同社の長嶋比呂志チーフ・サイエンティストは遺伝子改変ブタの医学的特徴を解説。ドナー(臓器提供)ブタは計69カ所に及ぶ遺伝子操作を施しており、まずヒトに超急性拒絶反応を引き起こすブタ特有の3つの抗原遺伝子を完全に除去。次にヒトの免疫反応や血液凝固を制御する7種類の重要遺伝子を導入し、拒絶反応を抑制。

さらに、感染症リスクを排除するため、ブタゲノム(全遺伝情報)内に存在する内在性レトロウイルスの全59コピーを不活化するなど、高度な安全対策を講じている。生産は体細胞クローニング技術を用い、衛生的な環境(DPF)での飼育を経てドナーブタとなる。

湘南鎌倉病院の田邉一成・腎移植・ロボット手術センター長は、ブタの解剖学的構造がヒトに酷似していることなどを確認、摘出した腎臓は180g程度で成人と同等のサイズであり、血管の状態も良好であったと報告した。さらに、動画を用いながらプラクティスの様子を解説、実際の臨床に即した高い精度で進めたことを示した。最後に「今後も搬送手順を含めたシミュレーションを重ね、本番に備える構えです」と締めくくった。

同院の日髙寿美・腎臓病総合医療センター長は、内科的視点から課題と意義を説明。異種腎移植には拒絶反応や血管内皮障害、感染症といった課題が存在するが、「生体腎移植が主流で献腎移植がきわめて少ない日本では、新たな治療の選択肢として意義が大きいと考えます」と強調した。

異種腎移植のイメージ図

記者会見を行う(左から)三輪社長、長嶋チーフ・サイエンティスト、小林院長、田邉センター長、日髙センター長

ドナーブタを用いた移植プラクティスを行う田邉センター長(中央)

小林院長も日本での臓器提供者の少なさに言及、「ひとりでも多くの腎臓病患者さんを救いたい」と訴えた。さらに、徳洲会グループが掲げる“生命だけは平等だ”の理念を示し、28年の治験開始に向け意気込みを表明した。

質疑応答の後、小林院長は「この技術をはじめとして、日本がもつ先進・先端医療をひとりでも多くの患者さんに、一日でも早く届けたいと強く思っています」と、医療者としての使命感を強調、報道陣に先進医療への理解と協力を呼びかけ、会見を締めくくった。

徳洲新聞2026年(令和8年)7/27月曜日 NO.1553より
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