白根徳洲会病院 持続可能な医療体制を民間2病院と構築 地域医療連携推進法人「やまなしSave」発足

徳洲新聞2026年(令和8年)6/15月曜日 NO.1547より
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白根徳洲会病院(山梨県)は地域の高原病院、宮川病院と地域医療連携推進法人「やまなしSave」を設立した。病院間の連携を強化し、持続可能な医療体制を構築するのが目的。5月26日の記者会見では、深刻化する医師不足や救急医療現場の疲弊といった地域課題を共有、「民間病院の結束こそが最重要課題」として、枠組みを超えた人材支援や病床機能の適正配置に取り組む方針を示した。

会見には、「やまなしSave」の代表理事に就任した白根病院の石川真院長、宮川病院の宮川直登院長、高原病院の渡辺一広院長が出席した。冒頭、事務局が設立の趣旨や事業計画案を説明。まず山梨県内の深刻な医療格差を指摘。県中心部には医療資源が豊富にある一方、郊外は非常に脆弱で、医師確保や救急体制、病院運営に大きな課題を抱えていることを訴えた。

今後、県立病院や大学病院が高度急性期や三次救急に専念できるよう、郊外の病院が力を合わせて「地域完結型」の医療を死守する必要があると強調。しかし、単独の医療機関では限界があるため、同法人の枠組みを活用し、南アルプス市を中心とする中巨摩地域の持続可能な医療体制を構築することを目的に活動することを明かした。

また、事業計画案として、①地域医療連携の推進、②宿日直や救急対応における医師・医療従事者の確保と相互支援、③紹介・逆紹介の強化や医療体制の維持・強化、④限られた資源を有効活用するための高額医療機器などの共同利用、機能分担、⑤医薬品や医療材料などの共同購入、⑥教育研修や医療DXの推進――を挙げた。

とくに、地域全体で支え合う仕組みを構築することで、医療従事者の負担軽減と医療提供体制の維持を両立させていく方針をアピールした。

記者会見に出席した(左から)宮川院長、石川院長、渡辺院長

「継続的に地域医療を守っていきます」と代表理事を務める石川院長

石川院長は「公的病院の約7割が赤字経営を余儀なくされ、病院の存続が危ぶまれているのが現状です。民間病院の結束こそが、持続可能な医療システムを構築する意味で最重要課題と考えます」と、地域医療を守る姿勢を前面に打ち出した。

宮川院長は地域包括ケアシステムの構築を最優先事項としつつ、救急医療の現場の疲弊に言及。「救急医療を担う現場の人たちの負担軽減を、どのように図っていくか、つねに考えています」と、地域内での救急医療の完結が重要であるとの認識を示した。

渡辺院長は「高齢の方の健康管理、軽症から中等症までの救急医療、そして当院が得意とする慢性期医療と終末期の丁寧な看取りというところで、切れ目のない医療を提供したいと思います」と、民間3病院の連携が地域の方々や医療従事者にとって有意義だと力を込めた。

行政との連携を密にしながら 地域医療の維持発展に努める

質疑応答では、地域医療の現状や連携による効果に関し、活発な質問が飛んだ。南アルプス市周辺の現状について問われた石川院長は、山梨県西部地域では病床などのインフラが不足しているという認識を示し、「それぞれの病院を守るという方針ではなく、地域の医療を守るということを主眼にして、今後とも進めていきたい」と回答。

また、人材不足が深刻である現状にも触れ、「単独ではなかなか解決できません。連携により、効率良く病院経営をすることによって、地域全体で解決の糸口を見つけていこうとするのが目標です」と語った。

高齢者医療の課題について問われた宮川院長は、介護施設などからの救急搬送による現場の逼迫を指摘。さらに、アドバンス・ケア・プランニング(ACP、人生会議)を通じた患者情報共有の重要性を挙げ、「どのように、お看取りをしたいかという希望があった時に、その情報共有が非常に大事になってきます。周囲の医療機関にも速やかに開示できるようなシステム構築が必要であると考えます」と語気を強め、今回の連携により、こうした情報共有も進めていく意向を示した。

「丁寧な看取り」の地域での課題に関し、渡辺院長は自宅での看取りの難しさに言及し、施設や病院での看取りを希望する家族も多い現状を吐露。「元気なうちから、患者さんやご家族と、健康管理に加えて終末期の話ができる関係を構築し、丁寧な看取りにつなげていくことが大事です。連携が密になれば、患者さんやご家族の気持ちに即した医療が提供できます」と連携の効果に期待を寄せた。

法人名の「やまなしSave」の由来に関し、石川院長は山梨県西部の「セイブ」の意味に加えて、限られた医療資源を「セーブ(節約・守る)」して効率的に使うという意味を込めていることを明かした。また、白根病院の山本彰事務長から、「Sustainable healthcare Alliance for Value & Evolution」の略称であるとの補足説明もあった。

今後の同法人の拡大については、医療経営の独占を目的としていないことを強調したうえで、「理念に賛同していただける法人がありましたら、ご相談いただければ、活動を広げることもあり得ます」と柔軟な姿勢を示した。さらに、現状の3病院の拠点や診療科、経営は独立を維持しつつ、今秋から病床機能の見直しや適正な医師配置などの検討に入る予定。白根病院が山梨県西部の医療拠点となり、地域の広域集約化の中心を担っていく決意も明かした。

設立の経緯を問われると、石川院長は「南アルプス市の医療を持続可能にするための話し合いを重ねるなかで、おのずと意見が一致し、手を結びました」と振り返った。

また、民間病院のみでの設立になったのは山梨県内で初めての事例であるが、「この地域に持続可能な医療体制を構築していくということは、自治体も私たちと同じ目標をもっています」としたうえで、「私たちは現場の医療人として、地域完結型の医療を守り、継続していくという責務があります」と、行政との連携を密にしながら、地域医療の維持・発展に努める決意を示した。

最後に、今後も取り組みに関する情報を随時発信していくことを集まった記者に伝えた。

徳洲新聞2026年(令和8年)6/15月曜日 NO.1547より
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