徳洲新聞2026年(令和8年)6/22月曜日 NO.1548より
詳細は「徳洲新聞ニュースダイジェスト」をご覧ください。
徳洲会グループは“それでいいよプロジェクト(PJ)”をスタートした。これは離島・へき地の研修医や専攻医など経験が少ない医師が、徳洲会独自のコミュニケーションアプリ「Chatis」を活用し、地域や病院の規模を問わずグループ内の専門医に、24時間相談可能なシステム構築を目指すプロジェクト。グループ内の医師がもつ知識・経験を生かし、離島・へき地医療をバックアップするのが狙い。パイロット版として、まずは都市部の6病院と離島の5病院を対象に救急科で開始した。PJリーダーは発案者の仲間直崇・北谷病院(沖縄県)院長。

「このPJは“生命だけは平等だ”のシステム化だと思っています」と仲間院長
相談は、徳洲会独自のコミュニケーションアプリ「Chatis」を使用する。基本的に、離島・へき地で相談を希望する医師が、Chatisを立ち上げ該当するボタンを押すと、その日に相談可能な医師が表示される。相談したい医師を決めると「コンサルト」というグループが作成され、相談する医師と相談を受ける医師のグループチャットが可能な状態となる。
チャットでやり取りし、最終的に相談を受けた医師が「相談終了」のボタンを押すと、生成AI(人工知能)がやり取りを要約した報告書を生成、チャット自体は消え報告書のみがデータベースに蓄積され、全数把握ができる仕組みだ(図1、2)。
あくまでも相談システムであるため、最終的な判断・責任の所在は離島・へき地病院としている。また、相談を希望するのが研修医の場合、勤務している離島・へき地病院の院長または上級医の許可を得なければならない。許可を得て利用する際、グループチャットには離島・へき地病院の院長が加わり、やり取りをモニタリングすることも可能だ。


4月27日にパイロット版がスタート。まずはニーズが高いと思われる救急科を対象に、相談を受ける施設として札幌東徳洲会病院、湘南鎌倉総合病院(神奈川県)、名古屋徳洲会総合病院、宇治徳洲会病院(京都府)、岸和田徳洲会病院(大阪府)、福岡徳洲会病院の6病院、相談する施設として屋久島徳洲会病院と、奄美群島の喜界徳洲会病院、徳之島徳洲会病院、沖永良部徳洲会病院、与論徳洲会病院の5病院(鹿児島県)、さらにモニターとして仲間院長が全例にかかわる体制で開始した。
相談を受ける6病院では、当番制を敷き、担当医師が当番日になるとChatisの相談システムに自動的に組み込まれる。原則、相談する側は病院内の端末を使用し、相談を受ける側は施設の希望によって病院または個人の端末でChatisを操作できる。
診療レベルの均質化や 医師確保・育成を視野
6月18日時点で発生した相談は2件。仲間院長は「離島の各病院が有する現状のシステムが、うまく機能しているということだと思います。それがわかることも、ひとつの学び。PJは今のシステムを置き換えるものではなく、うまくいっていないところをサポートするシステムです」と説明。「さらに周知していきたい」と話す。
仲間院長が同PJを発案したのは、離島・へき地医療や徳洲会全体の発展を願う思いからだ。
「現実に都市部と離島・へき地との医療格差はありますが、医師の知識・経験で患者さんに不利益が生じるのは防がなければならないと思っています。私も経験していますが、研修医の頃に『これでいいの?』と迷うことがあり、その時に専門医やベテラン医師の『それでいいよ、頑張れ』といったひと言があると安心します。医師の安全担保は患者さんの安全担保に直結します。徳洲会には今、約3,700人の医師がいるので、その知識・経験をできるだけ生かすシステムがあれば良いと思いました」と説明する。
昨夏に執行理事会の承認を得て、PJのワーキンググループを創設。担当理事の末吉敦・医療法人徳洲会専務理事(宇治徳洲会病院院長)によるバックアップの下、秋以降、アンケート調査やワーキングループの会合などをふまえ、情報保護の安全性や永続的な相談体制、責任の所在、相談をすること・受けることのメリットなど制度設計に腐心した。
パイロット版がスタートした後も、頻繁に現場の声に耳を傾け、相談システムのブラッシュアップを推進。「徳洲会インフォメーションシステム(TIS)と協議しながら、Chatisの機能拡充を進めています。ひとつは通話機能。電話相談も可能とし、それも生成AIがまとめる試みです。もうひとつはCT(コンピュータ断層撮影)などの画像も送信できる機能です」と余念がない。もちろん、システム以外にも改善を重ね、対象の施設・診療科を拡大していく意向だ。
グループ内で組織横断的に相談できる環境を整えることで、離島・へき地の患者さんの安全確保、診療レベルの均質化、さらには研修医や専攻医の研修満足度向上とグループへの定着を視野に入れる仲間院長。「将来的に、徳洲会全体で離島・へき地を支える意識のさらなる醸成、徳洲会を支える理念に基づく人材育成にもつながってほしいと願っています」と期待を込める。
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徳洲新聞2026年(令和8年)6/22月曜日 NO.1548より
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