羽生総合病院 独自プログラムで接遇研修 患者さんからクレーム減少し病院が明るく

徳洲新聞2026年(令和8年)1/13火曜日 NO.1525より
詳細は「徳洲新聞ニュースダイジェスト」をご覧ください。

羽生総合病院(埼玉県)は接遇研修に力を入れている。座学での集合研修に加え、外部調査員によるマンツーマンの実地研修を行っているのが特徴で、最終的に行動変容を引き起こすことが目的だ。2024年に事務職員(第1・2期)を対象にスタートし、25年8~12月には第3期として看護師を対象に実施。なぜ接遇向上に注力するのか、その背景にある理念や行動変容を促す独自の研修プログラムを紹介する。

外部調査員がマンツーマンで現場モニタリング

2回にわたる実地研修が終わった後に集合研修で総括

羽生病院が推進する接遇研修は、表面的なマナー講習ではなく、組織文化を変革するための取り組みだ。髙橋暁行院長は、同研修の原点を創設者である徳田虎雄・名誉理事長の「直言」にあると明かす。

「院長就任後、あらためて読み込んだ『直言』に繰り返し登場する『接遇』、『教育』、『しつけ』という言葉が、接遇教育を本格化させる決意を促しました」と述懐。さらに「患者さんに寄り添うという基本姿勢を実現するには、接遇こそが基本」と言うように、同研修について、人を思いやる心を育む人間教育の一環として位置付けている。

研修プログラムでは、基礎的な知識を学ぶ「集合研修」の後、「実地研修」を2回実施、最後に集合研修で総括する。とくに重視しているのが実地研修で、これは外部調査員が一人ひとりの受講者に寄り添い、マンツーマンで現場モニタリングしながら、接遇能力の評価と現場課題の洗い出しを行う。

「接遇研修は人を思いやる心を育む人間教育の一環」と髙橋院長

「実地研修では『いいところを伸ばす』ことを主眼に置く」と佐藤・看護部長

佐藤あけみ看護部長は「実地研修では、欠点の指摘ではなく、『いいところを伸ばす』ことを主眼に置いています。肯定的なフィードバックを受けることで、行動変容につながりやすくなり、質の高い接遇を『当たり前の風土』にできるようになります」と意図を説明する。

同研修は事務職員からスタートした。この理由について髙橋院長は「事務職員は『病院の玄関』であり、患者さんが最初に接する入り口の印象を徹底的に改善することが重要であると考えました」と強調。続く対象は看護師だが、なかでも各病棟で中核的な役割を担う「リーダークラス」を選抜。佐藤・看護部長は「研修で学んだことを、病棟全体に広めるという役割を期待しての人選です」と明かす。今後は看護部の役職者に加え、薬剤師や臨床検査技師といった医療スタッフ、さらには医師も含めた「すべての職員」を対象に研修を広げていく方針だ。

同研修による現場レベルでの成果として、髙橋院長は「患者さんからのクレームが減少し、病院が明るくなった」と実感。具体的には、「職員の口から『お待たせいたしました』という言葉が自然に出るようになりました。このひと言が、組織文化を象徴的に映し出す鏡となっていると思います」とうなずく。

また、佐藤・看護部長も「退室時の『失礼いたしました』といった挨拶など、自分ではできていると思い込んでいたのに、客観的フィードバックにより、できていないことに気付かされることも多かったようです。細かいことでも、こうした一つひとつを見直していくことで、患者さんへの敬意を表せるようになったと感じます」と実感する。

質の高い接遇は、患者満足度を高めるだけでなく、職員自身の働く意欲や誇りを醸成し、ひいては離職率の低下や優秀な人材の確保にもつながるという、組織全体への好循環を生む可能性を秘めている。

髙橋院長は「当院は地域のなかで、患者さんが安心してかかれる病院、かかって良かったと思ってもらえる病院を目指しています。AI(人工知能)化が急速に進む医療業界ですが、やはり『人を診るのは人』、『人を治すのも人』だと思いますので、接遇改革は病院の未来につながると考えます」と意気軒高だ。

徳洲新聞2026年(令和8年)1/13火曜日 NO.1525より
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