デジタル技術が拓く近未来の医療医療 DXで患者さんケア進化

徳洲新聞2026年(令和8年)1/1木曜日 NO.1524より
詳細は「徳洲新聞ニュースダイジェスト」をご覧ください。

タブレットやスマートウォッチで入院生活を管理

20XX年、T病院にひとりの高齢の男性患者さんが入院手続きのために訪れた。彼に渡されたのは1台のタブレット端末。画面の指示に従い、入院前の問診、いわゆるアナムネを入力していく。その操作は直感的で、煩雑な手続きは驚くほど円滑に進んだ。やがて担当となるひとりの女性看護師が、穏やかな表情で彼を迎え入れた。

その看護師は病棟で、患者さんの到着前から入念な準備を整えていた。彼女の目の前にあるのは、電子カルテ上に設定された「患者情報共有画面」。そこには、患者さんの通院・入院履歴、生活環境、さらにはリハビリテーション室や栄養管理室など院内の各部署から集約されたデータが統合表示されている。この「患者情報共有化」システムにより、患者さんが入院した瞬間から、多職種が連携した最適なチーム医療を計画的に開始できる。かつて情報収集に費やしていた時間は、今や純粋にケアの質を高めるための時間に変わっていた。

入院生活が始まると、医療DXの効果はさらに明確になった。定期的なバイタルサイン測定は、スマートウォッチにより自動で取得・記録されるようになった。この効率化によって生まれた時間は、患者さんとの対話に向けられる。看護師はベッドサイドでじっくりと話を聞き、不安を和らげ、治療方針などを丁寧に説明することができた。

一方、担当医もAI(人工知能)による画像診断支援を活用し、迅速かつ精度の高い判断を下していた。テクノロジーが定型業務を支援することで、人間ならではの共感力や、複雑で専門的な判断を患者さんに提供できるようになった。また、この医師は離島・へき地病院の支援も行っている。遠隔医療支援システムを駆使し、遠く離れた病院の患者情報を読み取り、若手医師にアドバイスを送る。ロボット支援手術が遠隔でできる日も近いと考えている。

退院サマリに生成AI活用し完成度アップ

そして退院の日、看護師は退院後の生活を見据えた看護サマリの作成に取りかかった。とある病院での効果検証で、かつて約60分を要したこの作業は、生成AIの活用により約20分で完了することが提示されている。彼女は生成AIツールを起動し、必要な指示を与える。すると、数分で質の高いサマリの草案が生成された。彼女は単なる筆記者としてではなく、専門職としてその草案をレビューし、修正と追記を加えて書類を完成させた。AIは彼女の仕事を奪うのではなく、その専門性を最大限に引き出すための強力なパートナーとなっていた。

患者さんは手厚いケアを受けられたという深い満足感を胸に病院を後にした。看護師も煩雑な事務作業から解放され、専門職としての使命を果たした充実感とともに一日を終えた。

この光景は、AIがもたらす「新しい産業革命」が、医療の構造を変えつつある現実を映し出している。これはもはや構想ではない。医療現場の構造的変革を通じて、「いつでも、どこでも、誰でもが最善の医療を受けられる社会」を実現するための助けになるだろう。

徳洲新聞2026年(令和8年)1/1木曜日 NO.1524より
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