徳洲新聞2026年(令和8年)8/17月曜日 NO.1556より
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羽生総合病院(埼玉県)の南秀朗・泌尿器科部長と、茅ヶ崎徳洲会病院(神奈川県)の木下貴之副院長は、前立腺肥大症に対する低侵襲手術「ウロリフト(経尿道的前立腺吊り上げ術)」を、それぞれ100例達成した。同術式は、肥大した前立腺組織を切除したり焼灼したりせずに尿道を広げる治療法。侵襲が少ないため、従来の手術が難しかった高齢の患者さんや併存疾患のある患者さんにも広く行える。南部長はプロクター(指導医)資格を生かした後進育成や学術活動、木下副院長は離島での診療を通じ普及に努めている。
100例は国内で4番・5番目
前立腺肥大症は、男性の膀胱のすぐ下にある前立腺が加齢とともに肥大し、尿道を圧迫して排尿・蓄尿の障害を招く病気。80代男性ではじつに約9割に見られるという報告もある。一般的に、症状が軽い場合は薬物療法を行い、十分な効果が得られない場合には手術を行う。
手術はTURP(経尿道的前立腺切除術)やHoLEP(ホルミウムレーザー前立腺核出術)などがあり、電気メスやレーザーを用いて前立腺組織を切除・焼灼し、術後に尿道カテーテル(管)を一定期間留置する。
ウロリフトは、2022年に保険適用となった比較的新しい治療法。専用のシステムでインプラント(留置ピン)を埋め込み、肥大した前立腺を持ち上げ尿道を物理的に押し広げる。従来の手術と比べ、前立腺組織の切除や焼灼をせず、術後の尿道カテーテル留置期間も短く、性機能の温存も期待できる。
「ご高齢の方にも行え、早ければ5分ほどで終わるので、翌日には退院できます」と話す南部長は、23年1月に前勤務地の徳洲会グループ外の病院でウロリフトを開始。25年4月に羽生病院に着任した後も地道に症例を重ね、今年5月に通算100例に到達した。国内で100例を超えたのは4人目。「効果を実感していただけたからこそ、患者さんが続けて来てくださったのだと思います。地域での口コミが大きいです」と振り返る。
症例を重ねるかたわら、ウロリフトのプロクター資格を生かし、後進の育成にも注力。前立腺肥大症に対するもうひとつの低侵襲治療「アクアブレーション」(高圧の生理食塩水で肥大した組織を精密に削り取る術式)も手がける。前立腺肥大症の低侵襲手術をテーマとする専門書の分担執筆や、10月に開催される第91回日本泌尿器科学会東部総会のシンポジウムに登壇予定と、学術活動も活発だ。
機器を扱う企業の担当者は、南部長を「術中の出血の少なさは随一で、患者さん思いの先生です。」と評する。

「患者さん一人ひとりに適した選択肢を」と南部長(左)

「離島にもウロリフトを普及させたい」と木下副院長(左から2人目)

取材時の手術では、インプラントを比較的多く留置するも12分で終了

「離島にも届けたい」思いで実践
茅ヶ崎病院の木下副院長は、今年6月に100例を達成した。南部長に次いで国内5人目。すべて自院と徳之島徳洲会病院(鹿児島県)で行った。「当院がある湘南地区は高齢の方が多く、前立腺が大きく肥大している方や尿道カテーテルが入っている方も少なくありません。『尿道カテーテルを抜いてみませんか』と勧めると、多くの方が前向きにウロリフトを考えてくださいます」と話す。
とくに離島での実施について、木下副院長は「基本的に滞在は1泊2日。そのため、たとえばTURPで術後に出血しても対応が難しいのが実情です。ウロリフトは術後の状態が数日で落ち着くので、離島診療に向いています」と強調。機器を扱う企業の担当者も「ウロリフトは形状として持ち運びが容易です。木下副院長の『離島にも届けたい』という思いの積み重ねが、100例につながっていると思います」とたたえる。
「患者さんに寄り添い、親身に話を聞く。困っている方に会いに行くことを重視したい」と木下副院長。今後は徳之島以外の離島にあるグループ病院にも足を運ぶ考えだ。「尿道カテーテルの入った患者さんを、ひとりでも減らしたい。声をかけていただければ、うかがいます」と意気軒高だ。
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徳洲新聞2026年(令和8年)8/17月曜日 NO.1556より
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