湘南鎌倉総合病院 国内初のロボット腎移植 特定臨床研究10例完了

徳洲新聞2026年(令和8年)4/6月曜日 NO.1537より
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湘南鎌倉総合病院(神奈川県)は、手術支援ロボット「ダヴィンチ5」を用いて腎移植を行う国内初の特定臨床研究で、予定していた10例を終了した。研究責任者を務めたのは、同院の田邉一成・院長補佐兼腎移植センター長。同研究は2025年8月に開始し、26年3月4日に最終症例を完遂。外部委員による審査で特定臨床研究第2フェーズへの続行許可が得られ、さらに医療法人徳洲会の承認も得られたため、追加40例の特定臨床研究を開始した。

笑顔の田邉センター長
「当院の腎移植は、ひとつの大きな社会貢献」と田邉センター長

独自術式導入で手術精度大幅向上

国内初の手術支援ロボットを用いた腎移植の特定臨床研究は、安全性と有効性を検討し、将来的な標準治療への位置付けと保険適用を目指すのが目的。田邉センター長は予定していた10例を振り返り、「当初は非常に大変な面もありましたが、症例を重ねるごとに手技の精度が飛躍的に向上しました」と手応えを語る。

とくに後半の5例では、世界標準とされる従来の手法から脱却し、田邉センター長が独自に考案した術式に変更。この結果、操作性が向上し、手術時間が大幅に短縮、患者さんの腎機能の改善も見られた。「今後は、この術式をスタンダードとしていきたい」(田邉センター長)とアピールするように、論文発表などを通じて世界へ発信していく考えだ。

第2フェーズに移行40例実施へ

国内初のロボット腎移植をダヴィンチ5で実施
腎移植相談外来は全国の徳洲会グループ8病院で行っている

同研究は第2フェーズとして、追加40例の実施へと移行している。同院では4月以降、ロボット腎移植を「標準」として位置付ける方針で、再移植や高度な癒着がある症例など、一部の例外を除き、可能な限り全例でロボット手術を選択していく構え。ロボット腎移植は、従来の開腹手術に比べ出血量が明らかに少なく、傷口も小さいため、感染リスクの低減や早期の社会復帰に直結する。

ロボット腎移植の普及は、同院のみならず徳洲会グループ全体の移植医療の底上げにも結び付く。田邉センター長は、グループ内のネットワークを生かした「腎移植相談外来」の展開を加速。これは透析患者さんのなかにいる移植希望者を全国のグループ病院で掘り起こし、移植医療へのアクセス格差を解消する取り組みだ。

山形徳洲会病院、羽生総合病院(埼玉県)、東京西徳洲会病院、福岡徳洲会病院、鹿児島徳洲会病院、沖永良部徳洲会病院(鹿児島県)に加え、この半年で名瀬徳洲会病院(同)、徳之島徳洲会病院(同)も加わり、現在8病院で実施。さらなる拡大も考えており、湘南鎌倉病院の大久保恵太・腎移植外科部長と協力して行っていく計画だ。

移植医療を支えるスタッフの育成にも注力しており、今後、宇治徳洲会病院(京都府)から医師の研修を受け入れる予定。田邉センター長は「関西圏は人口が多い一方、腎移植が活発な施設が限られているのが現状です。宇治病院でロボット腎移植を開始できれば、大きな強みとなります」と強調。「まずは当院で日本一と言える実績を積み上げ、そこでトレーニングを受けた医師が各地の拠点病院で移植を行えるようにする。この循環をつくることが重要だと考えます」とグループを挙げた人材育成の重要性を説く。

同院の腎移植は現在、学会参加などによる中断がなければ週2例のペースで推移している。田邉センター長は「早期に年間100例の大台に乗せたいが、26年は60~70例を完遂できれば十分な成果」と分析。さらに「当院の腎移植は、ひとつの大きな社会貢献だと考えています。離島・へき地の患者さんに対し、移動費の補助などを含めて支援を継続していきます」と力を込める。

ロボット腎移植は、特定臨床研究の枠組みであるため保険適用外だが、今後2年程度、データを蓄積し、日本泌尿器科学会保険委員会と連携して保険収載を目指す。これが実現すれば、全国から同院に患者さんが集まることが予想される。メディアなどを通じた積極的な広報活動も展開していく予定だ。

現在、ロボット腎移植を指導できる医師は国内に田邉センター長のみだが、「他院から指導の要請があれば出向くつもりですが、まずは自分たちの技術を完璧なものにしなければなりません。プロクター(指導医)としての責任は重大であり、生半可な技術で教えるわけにはいきません」と引き締めている。

徳洲新聞2026年(令和8年)4/6月曜日 NO.1537より
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