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徳洲新聞2021年(令和3年)4/5月曜日 NO.1281より
詳細は「徳洲新聞ニュースダイジェスト」をご覧ください。
医療法人沖縄徳洲会 包括的がん治療拠点「先端医療センター」始動 陽子線装置は徳洲会グループ・神奈川県ともに初
医療法人沖縄徳洲会(沖徳)は3月27日、湘南鎌倉総合病院(神奈川県)の本館西側の敷地に開設する先端医療センターの竣工式を挙行した。同センターは徳洲会グループ、神奈川県ともに初となる陽子線治療装置を導入し、「包括的がんセンター」として高度ながん医療に取り組む。式には徳洲会や神奈川徳友会、行政、設計・施行関係者らが列席、新センターの完成を祝った。同センターは4月1日にオープン、各設備は順次稼働していく。。
〝断らないがん医療〟へ臨床・研究・教育
神事の後の挨拶では、まず沖徳の安富祖久明理事長が「先端医療センターの名にふさわしい未来を感じさせるデザインで、がんという病気に時間をかけて向き合える居心地の良い空間が完成しました」と竣工を喜んだ。
さらに「包括的がんセンターとして、標準治療に加え、陽子線治療など高度な医療も行い、がん治療の新たな選択肢を提供していきます。日本全国や海外からも患者さんを迎え入れ、一同邁進(まいしん)していく所存です」と決意を新たにした。
「未来を切り拓く取り組みに 期待します」と千田副市長 |
次に湘南鎌倉病院の篠崎伸明院長(沖徳副理事 長)が「大きなイノベーションを生み出す チームとして、地域のサポートをいただきなが ら進んでいきます。がん医療だけでなく、再生 医療や予防医療などにも積極的に取り組み、 多くの方々に利用していただけるよう環境を整 備してまいります。ぜひ期待してください」 と意気込みを見せた。 続いて井上登美夫センター長が「当センターは 来賓を代表し、千田勝一郎・鎌倉市副市長が 設計・監理を担当した伊藤喜三郎建築研究所の 施行者である熊谷組の櫻野泰則社長は |
「全国や海外からも患者さんを 迎え入れます」と安富祖理事長 |
「静かに落ち着いて治療に専 念できる空間です」と原社長 |
「再生医療や予防医療などにも 取り組みます」と篠崎院長 |
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「重要なプロジェクトに参画 できて光栄です」と櫻野社長 |
「“断らないがん医療”を目指し ます」と井上センター長 |
外傷・救命救急センター 2022年夏に竣工予定
神事で玉串奉奠を行う安富祖理事長
先端医療センターは鉄筋コンクリート・鉄骨造の地上4階・地下1階建てで、延床面積は約1万1492㎡。地下1階にはPET検査の診断薬を作製する設備を導入、1階には陽子線治療室、BNCT室、PET-CT・SPECT(シングルフォトン断層撮影)-CT検査室に加え、乳腺外科外来・婦人科外来も設置する。
2階はCT(コンピュータ断層撮影)やMRI(磁気共鳴画像診断)、内視鏡室などを備えた健康管理センターで、これまで本館にあった健康管理センターの約3倍の広さ。男性と女性で入り口が分かれ、健診の際に動線が交わらないように工夫。1階の乳腺外科外来につながる女性専用エレベーターもあり、マンモグラフィー(乳房X線)検査を受ける際にも便利だ。健康管理センターは4月5日にオープン。
3階にあるオンコロジーセンターでは外来化学療法などを実施。ベッド数もこれまでの24床から40床に拡大した。臨床試験センターでは医薬品・医療機器開発の第Ⅰ相試験(フェーズⅠ)などを行う。ほかに血液内科外来も設置。4階は再生医療センター、細胞培養・ゲノム細胞分析センター、トレーニングセンター(大会議室)。また現在、先端医療センターの敷地内に外傷・救命救急センターを建設中で、22年夏に竣工予定。
高線量を集中照射──陽子線治療
狙った病変に高線量を効率良く集中照射できる陽子線治療
陽子線は体表面から深い位置で放射線量が急速に高まり、その後、急速に低下。狙った病変に高線量を効率良く集中照射できることから、他の正常組織へのダメージが軽減するのが特徴。2016年4月の診療報酬改定で小児がんが保険適用となり、18年4月の改定で頭頸(とうけい)部がんの一部、骨軟部がん、前立腺がんが保険診療となった。日本では19施設目。同治療装置は22年1月に稼働予定。
同センターでは他にBNCTも導入。これは、がん細胞に取り込まれやすいホウ素化合物を利用した治療法で、ホウ素化合物を静注し熱中性子を照射するとα線とリチウム7線が発生、がん細胞のみを内部から破壊する。保険診療の対象は切除不能な局所進行または局所再発の頭頸部がん。同治療装置は22年春に稼働予定だ。
がん診療に欠かせない──PET-CT検査
がんの病期診断や治療効果判定に有効なPET-CT検査
PET-CT検査は、がんの病期診断、治療効果判定、再発診断など、がん診療に欠かすことができない検査だ。PETとはPositron Emission Tomography(陽電子放射断層撮影)の略。放射性物質を含む薬剤を体内に投与し、その分布をPET装置でとらえ画像にする。一般的に、がん細胞は正常細胞より多くのブドウ糖を取り込むため、がん診療では薬剤としてブドウ糖の類似物(18F-FDG)を用いる。
従来のPET検査では、18F-FDGが集まった部分を判定することが難しく、別に撮影したCTやMRIとの比較を必要としていた。PET-CT検査では、これらを同時に行うことができるため、18F-FDGが集まった部分とCTとの比較が容易となり、診断精度が向上。
がん治療後のフォローアップにも有効であり、一定数発生する局所再発や遠隔転移の早期発見に役立つことから、治療の選択肢も増え、治癒率も向上すると言われている。
先端的な医学研究を提供――再生医療
再生医療センターでは再生医療等安全性確保法を順守した先端的な再生医療を、ひとりでも多くの患者さんに「当たり前の医療」として提供することを目指し、これまで有効な治療法が確立していない疾患である透析患者重症下肢虚血(先進医療B)、急性腎不全(臨床研究)、脊髄(せきずい)損傷(同)、肝硬変(同)に対し、自己末梢血由来CD34陽性幹細胞による再生医療を行う。
さらに、同センターに隣接する湘南ヘルスイノベーションパーク内に設立した「湘南先端医学研究所」に国内および海外の先駆的な研究者を集め、再生医療・がん治療の基礎研究を進めるとともに、開発した診断・治療技術を同センター内の細胞培養・ゲノム細胞分析センターと予防医学センターで臨床応用を実現していく準備を進めている。
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