看護のチカラ患者さんのために尽くす看護の新たな架け橋へ!Vol.2

徳洲新聞2025年(令和7年)8/25月曜日 NO.1506より
詳細は「徳洲新聞ニュースダイジェスト」をご覧ください。

現場で奮闘する看護師を取り上げ、仕事へのこだわりや信念を紹介する「看護のチカラ」。第2回は湘南鎌倉総合病院(神奈川県)の戸田泉・診療看護師(NP)。制度が黎明期だった時代から挑戦を重ね、今もなお現場と人をつなぐ要として活躍を続けている。

戸田 泉 湘南鎌倉総合病院(神奈川県) 診療看護師(NP)

患者さんに処置をする戸田NP

NP管理運営委員会を月1回開催

「ドクターではない。でも、ドクターの思考を理解し、看護師として何ができるかを問い続けることが大切」。“診療看護師”について、こう語るのは、2014年にNP資格を取得し、現在、外科で活躍する戸田NPだ。制度が黎明期にあった時代から“看護師の新たな道”を切り拓いてきた。

NPを志したきっかけは勤務先の深刻な人手不足と、看護の力で現場を支えたいという強い思いだった。「自分の能力が上がれば、患者さんに還元できることが増える」。その一心で、制度も教育も整っていないなか、NPの可能性に賭けた。

資格取得後は研修制度の整備や評価表の作成、診療部門との連携など、院内制度の構築に奔走。現場横断的にNPの活動基盤を整えた。評価表は現在、グループ全体の研修規程にも活用されている。

17年に外科に所属。多忙な医師に代わり、回診で決まった治療を実行に移したり、看護師が把握している患者情報と診療方針の認識のズレを調整したりと、“橋渡し役”としての役割を果たしている。戸田NPは「私の仕事は医師の役割を奪うことではなく、看護師のアイデンティティのなかで、医師の考えを理解し多職種をつなぐこと」と、そのスタンスを明確にしている。

現在、院内では11人のNPが活躍。戸田NPはチーム全体の育成にも力を注ぎ、「それぞれが自立して働けるよう、道をつくるのが自分の役割」と語る。NPの存在が院内で必要とされるようになった今、「もっとNPを増やし、地域医療にも貢献したい」と、離島・へき地への派遣支援にも意欲を見せる。

一方で、管理職としての悩みもある。自らの強いビジョンをもちながらも、若手の自立性を大切にするため、「経験則や考えを押し付けず、尊重する」姿勢を意識している。「私がいなくなっても活躍できるフィールドをつくり、それぞれが現場で輝けるNPを育てたい」。それが戸田NPの目指す看護の形だ。

多忙な日々のなか、子どもたちと過ごす時間やホットヨガが心身のリフレッシュの源。「自分のためには頑張れないけれど、子どもたちのため、患者さんのためなら頑張れる」。その言葉には揺るがぬ看護の軸がにじんでいる。

徳洲新聞2025年(令和7年)8/25月曜日 NO.1506より
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