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徳洲新聞2021年(令和3年)5/10月曜日 NO.1286より
詳細は「徳洲新聞ニュースダイジェスト」をご覧ください。
湘南鎌倉病院 岸和田病院
狭窄病変の再治療頻度を低減
血液透析患者さん用薬剤コーティングバルーン開始
徳洲会が国内1例目と2例目施行
湘南鎌倉病院と岸和田病院は薬剤コーティングバルーンの治験段階から参画。国際共同治験として実施、国内では6施設が参加した。
血液透析を続けていると、シャントが狭窄するトラブルが発生することも珍しくない。シャントの狭窄は血流不足を招き、透析不足の原因になり得る。狭窄が発生した場合、一般的に行う治療はPTA(経皮的血管形成術)だ。これは、血管内にバルーンカテーテルを挿入して、狭窄した部位をバルーンの圧力で内側から拡張し、血管を広げる治療法。
だが、一度狭窄すると再狭窄が起こりやすくなり、繰り返しPTA治療を受けるケースが少なくない。透析患者さんの身体的負担をできるだけ軽減するには、シャントを再建するのではなく、できる限り長期間、同じシャントを使い続けることが重要だ。そのため、再狭窄までの期間を延ばすことができるデバイスが待ち望まれていた。
「再治療までの期間を延ばせるのは朗報」と磯貝部長
薬剤コーティングバルーンには、パクリタキセルという薬剤を塗布している。新生内膜の増殖を抑える効果があり、これにより再狭窄の発生を抑制する。長さ100㎜までの狭窄病変が治療対象だ。これまで冠動脈や下肢動脈の再狭窄を抑制する薬剤コーティングバルーンはあったが、シャントを対象とした製品は国内初。
薬剤を塗布したバルーンを狭窄部位で拡張(画像提供:日本メドトロニック)
手技自体は通常のPTAと同様に、X線透視下でカテーテルによりバルーンを病変部位に送り込む。バルーンを3分間拡張し、薬剤を病変部位に移行、その後バルーンを抜去する。
国際共同治験の結果、標準的なPTAの治療を受けた患者さんと比べ、薬剤コーティングバルーンの治療を受けた患者さんは、その後のシャント開存率が高く、再治療の回数が少なくすむというエビデンス(科学的根拠)を得た。
一次開存率82%超と高率
治療後6カ月までの標的病変の一次開存率は、通常のPTAが59・5%だったのに対し、薬剤コーティングバルーンは82・2%と高率を保った。
1例目の症例は日頃、かかりつけの透析クリニックに通院する50代の男性患者さん。昨年7月の透析導入から3カ月後の10月に狭窄が生じ、PTAを行っていた。「PTAの回数を減らし、今、使っているシャントを長持ちさせたい」という患者さんの希望をふまえて薬剤コーティングバルーンによる治療を実施した。
透視画像を見ながら狙った部位でバルーンを拡張(写真は湘南鎌倉病院)
岸和田病院の藤原昌彦・循環器内科部長は「薬剤コーティングバルーンを用いることによって、明らかに再治療までの期間は延びています。狭窄は、よくあるシャントトラブルのひとつで、3カ月おきにPTAを受ける患者さんも少なくありません。治療の間隔を半年、1年と延ばすことができれば、そのぶん患者さんの負担軽減になります」と期待を寄せる。
「日本は腎移植を受ける機会が少ないため、同じシャントをできるだけ長く使い続けていくことが大切です。それだけに血液透析患者さん向けの薬剤コーティングバルーンが登場した意義は大きい」と強調する。
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