千葉病院 足関節の動きアシスト ロボット型短下肢装具を導入

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徳洲新聞2021年(令和3年)1/11月曜日 NO.1269より
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千葉病院 足関節の動きアシスト ロボット型短下肢装具を導入

千葉徳洲会病院は回復期リハビリテーション病棟に入院する脳梗塞など脳血管障害による片まひ患者さんを対象に、ロボット型短下肢装具を用いたリハビリテーションに取り組んでいる。この装具は足底センサーからの情報をもとに、足関節の動きをモーターの力でアシストするというもの。歩行訓練を安全に反復して行うことができ、患者さんは歩行時の足関節の動きを体感的に学習。歩行に必要な神経回路の再建・強化を促すことが期待される。帝京平成大学と共同で臨床研究として実施している。

大学と共同で臨床研究実施

(右から)川北副主任、池田部長、内藤副室長(右から)川北副主任、池田部長、内藤副室長

短下肢(膝から下)装具は足首の関節が完全に固定されたタイプや、一定の可動域の範囲で動かすことができるタイプなどがある。

歩行時の足関節の底屈(つま先を下げる動き)・背屈(つま先を上げる動き)が十分できない場合、転倒のリスクが高くなるため、従来のリハビリでは、つま先が床に引っかからない角度に足首を固定した短下肢装具を装着して歩行訓練を行うことが多かった。

「患者さんの残存機能を最大限に回復するのがリハビリの目的です。そのため過度に介助したり装具で関節を固定したりするのではなく、まひした側の下肢の動きを補助することにより、促通(そくつう)(思ったとおりの四肢の動きを実現するために神経回路を再建・強化)を目指すことが重要と考えます。そこで、促通の効果が期待できるロボット技術を活用したリハビリに注目しました」と千葉病院リハビリテーション科理学療法士の川北大副主任。

使用しているのは「CoCoroe AAD」(安川電機製)というロボット型短下肢装具で、病院や介護施設での歩行訓練に用いることを想定した「福祉機器」のひとつ。歩行時に足底センサーからの情報をもとに、足関節の底屈・背屈をモーターの力でアシストし、足首の動きを補助。かかとからの接地を促し、足が地面から離れる際の蹴り出しをサポートする。底屈・背屈の角度や力加減を細かく設定することが可能。使用者は歩行時の足関節の動きを体感的に学習、促通効果が期待できる。

臨床研究は帝京平成大学と共同で実施。千葉病院の回復期リハビリ病棟に入院する脳血管障害による片まひ患者さんを対象に、ロボット型短下肢装具の実施群(目標12例)の練習効果を、非実施群(12例)と比較し、適応症状や設定の特徴を検討するのが目的。脳血流動態への影響も調べる。実施群は10日間、通常訓練60分実施後にロボット型短下肢装具を着けて20分の歩行訓練などを行う。

実施前後と、実施から1カ月後に評価を行う。研究は2019年から始まっており、期間は22年3月まで。同大学からロボット型短下肢装具の貸与を受けて実施している。

リハビリテーション科の内藤秋光副室長(作業療法士)は「リハビリの分野も器具がどんどん進化している時代です。徒手療法を中心に、患者さんのためになるのであれば積極的に新しいツールを活用していきたい」と展望する。

「以前よりも自分の意思で足首動かせるように」

川北副主任が付き添いながらゆっくりと歩行訓練。腰に装着しているのがコントローラー川北副主任が付き添いながらゆっくりと歩行訓練。腰に装着しているのがコントローラー

取材で同院のリハビリテーション室を訪れると、左側の片まひがある患者さんがロボット型短下肢装具を用いたリハビリを始めようとしていた。川北副主任が患者さんの左脚に装具を着け、コントローラーを腰に巻き付けて開始。川北副主任は横に付き添い、時折、片手を添えて見守りながら行った。患者さんは右手に四点杖を持ち、一歩一歩確かめるように、ゆっくりと歩行訓練を行った。

患者さんは「アシストしてもらっているため、足首をやわらかく動かせている実感があります。少しずつですけど、以前よりも自分の意思で足首を動かせるようになってきた感じがします」と手応えを口にする。

足底センサーの情報をもとに足関節の動きをアシスト足底センサーの情報をもとに足関節の動きをアシスト

リハビリテーション科の池田喜久子部長は「患者さんにはリハビリ中に足関節の動きをしっかりと感じてもらい、そこに意識を集中しながら取り組んでいただくことが大切です。その感覚がフィードバックされることによって学習効果につながり、歩行能力の改善をもたらすと考えられるためです」と期待を寄せる。

使用しているロボット型短下肢装具は、国内で複数の施設が導入しているが、回復期の脳血管障害の患者さんを対象に臨床研究を行うのは初という。研究成果の発表が待たれる。

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