徳洲会緩和ケア部会 病棟運営の工夫など知見共有 「日本死の臨床研究会」では13演題発表

徳洲新聞2025年(令和7年)12/15月曜日 NO.1522より
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徳洲会緩和ケア部会は11月1日、第48回日本死の臨床研究会年次大会に合わせ、岩手県盛岡市内で「2025年度徳洲会緩和ケア部会」を開催した。緩和ケア病棟の運営の工夫などをテーマとする一般演題5演題に加え、外部講師を招聘して特別講演も実施。会場とオンライン参加で多職種の約90人が、知見を共有するなど研鑽を積んだ。同研究会では徳洲会グループから13演題の発表があった。

会場には約30人が参集(前列中央が部会長の前野・名誉院長、その左が当番世話人を務めた馬場部長)

一般演題は徳洲会グループの5病院が緩和ケアの取り組みについて発表

冒頭、当番世話人を務めた吹田徳洲会病院(大阪府)の馬場美華・緩和医療科部長が「参加された皆さんにとって実りの多いに会になることを期待しています」と開会の挨拶。

続いて、札幌南徳洲会病院の四十坊克也院長が座長を務め一般演題を実施。まず名古屋徳洲会総合病院の橋本かの子・看護師長(緩和ケア病棟)が「当院緩和ケア病棟における運営の工夫」をテーマに発表した。

同院は18床の緩和ケア病棟を有し、コロナ禍を契機に入棟面談を廃止。代わりに入退院支援室が依頼元の医療機関と連絡を取り合い、患者さんの情報を収集。特徴として「外科中心の運営」、「主治医制」などを挙げ、病棟専従医が外科所属のため対象患者の拾い上げが容易であることや、同病棟への時間外緊急入院対応も比較的容易であることなどを紹介した。また緩和ケア外来枠、同相談枠を増設し、入院時の情報収集を早期から実施するなど工夫をアピールした。

次に、千葉徳洲会病院の富塚真理子・看護師長(がん緩和ケア相談支援室)が「総合病院の緩和ケア病棟に求められる運用上の現状と課題」をテーマに口演。同院の緩和ケア部門は、がん緩和ケア相談支援室を入り口として緩和ケア病棟(24床)、緩和ケアチーム、緩和ケア外来がある。「同室には専従で2人の緩和ケア認定看護師を配置し、患者さん、ご家族、地域の医療機関からの相談業務、緩和ケアに関する前方・後方支援、緩和ケアチーム、緩和ケア外来を担当しています。認定看護師が直接対応することで速やかな対応に努めています」と強調。今後の課題として人材の確保と教育などを提示した。

福岡徳洲会病院の田口直美・看護師長(緩和ケアチーム専従看護師)は「当院緩和ケアチーム運営に関する工夫」をテーマに発表。同院では主治医や病棟看護師からのコンサルトを受けて協働する緩和ケアチームが活動している。運営の工夫として、終末期のイメージを払拭するため、名称を緩和ケアチームから「症状緩和チーム」に変更。さらに、麻薬など重要な処方・変更が夜勤帯にずれこんでいたことなどを改善するため、2チーム制に見直しを図ったことなども紹介した。

宇治徳洲会病院(京都府)の松橋晴子・看護師長(緩和ケア病棟)は「人生を生ききった奇跡の症例」をテーマに発表。松橋・看護師長は外来化学療法や集中治療、高齢者医療、産科、在宅診療など、さまざまな部署を経験。「緩和ケアでは、患者さんが少しでも笑顔で穏やかに過ごせるように、大切な方々の愛情を受けながら死を迎えるまでの時間を経験豊かなスタッフと過ごすなかで、“奇跡”を感じる場面がありました」と振り返り、家族やスタッフとの感動的な交流の描写を交えながら「生ききったと思える奇跡の5症例」を紹介した。

「徳洲会でなければ できない緩和ケアを」

最後に、出雲徳洲会病院(島根県)の山本大介・精神科部長が「心を痛めることの意味」をテーマに発表。同院には緩和ケアチームや同病棟がないことから、山本部長は隣市の病院の同病棟で研鑽を積んでいる。そこで出会った膵臓がんの患者さんとの交流を通じて得た「痛み」を巡る思索を紹介した。

山本部長は「私たちは、死が間近に迫った方々とかかわりながら、日々、どうすれば良いのかと悩み、迷い、葛藤します」。「一生懸命にかかわった患者さんが亡くなられ、悲嘆に暮れます。私たちは自らの心に『痛み』を抱え続けます。私たちが真剣に患者さんとかかわる限り、『痛み』は不可避です」。「患者さんの痛みと、私たちの痛みが、共振して、共鳴して、一つになったとき、『寄り添われている』と患者さんは実感してくださるのではないでしょうか」と静かに語った。

一般演題の終了後、部会長である札幌南病院の前野宏・名誉院長が座長を務め、聖隷三方原病院の森田達也副院長が「緩和ケア:ずっと変わらない大切なことと最近のトピック」をテーマに特別講演。森田副院長は同院でホスピス病棟や在宅診療に従事し、2005年から緩和支持治療科・緩和ケアチームの一員として活躍、また長きにわたり緩和ケア領域での臨床研究(地域連携にかかわるOPTIM研究、生命予後の予測指標、緩和的鎮静など)に携わってきた緩和ケア領域での世界的な第一人者だ。

森田副院長は緩和ケアを実践する際のポイントや、薬物療法などに関するエビデンス(科学的根拠)、ACP(アドバンス・ケア・プランニング:人生会議)の要諦などをレクチャーした。

閉会挨拶では前野・名誉院長が、徳洲会緩和ケア部会がスタートした17年からの歴史(当時は徳洲会緩和ケアセミナーと呼称)を振り返り、コロナ禍による中断を経て再開し、今回、盛岡市で盛況なハイブリッド開催を実現できたことへの謝意を表した。そのうえで「緩和ケアは多職種連携で成り立っています。患者さんのため徳洲会グループの緩和ケアのさらなる発展と、徳洲会でなければできない緩和ケアを目指していければと考えています」と締めくくった。

日本死の臨床研究会では、宇治病院が5演題、湘南鎌倉総合病院(神奈川県)が4演題、岸和田徳洲会病院(大阪府)が3演題、千葉病院が1演題を発表。

徳洲新聞2025年(令和7年)12/15月曜日 NO.1522より
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