今回は「グループだからいろいろ学べる!」をテーマに、実際に研修に参加した看護、介護職の皆さんに、その内容や苦労した点、良かった点、研修前後での変化などについて聞いてみました。
N.Mさん 介護福祉士
『看護・介護研究発表会 大島紬のはた織りで機能訓練』
湘南鎌倉総合病院(神奈川県)で開催された「看護・介護研究発表会」で発表しました。
テーマは「認知症高齢者の性格リハビリにおけるADLの向上~大島紬のはた織りを生活に取り入れて」。
私は医療療養病棟に勤務しています。
認知症があり、骨折や脳梗塞などでADL(日常生活動作)が低下している患者さんに対し、昔から馴染みのある動作が残存機能の回復と向上につながるのではないかと考え、研究に取り組みました。
当院のある竜美大島では昭和40年代、大島紬の生産が全盛期で、はた織りが各家庭の主な収入源でした。
調べてみたところ、当病棟に入院中の女性の認知症患者さんの約8割に、はた織り経験がありました。
実際にはたを織ってもらったところ、それまで発語のなかった方が「糸織り(糸車に糸を巻きつける作業)を手伝って」などの声を、他の患者さんにかけるなど、他者との交流や自発性が生まれ、楽しみながら機能訓練ができました。
ただ、認知症の評価などでは苦労もあります。
評価基準が統一されていなかったため、看護師の協力を得て、N式老年者用精神状態尺度(NMスケール)やN老年者日常生活動作能力評価尺度(N-ADL)を取り入れ、病棟全体で研究に取り組みました。
研究中は相互理解がうまく図れず、投げ出したいと思うこともありましたが、最後までやり遂げることができ、良かったと思います。
今度は、「認知症ケア専門士」の資格取得にも挑戦し、認知症の知識や介護技術の向上に努めていきます。
N.Kさん 看護師
『海外ボランティア研修 徳洲会の理念の尊さ再確認』
私は、徳洲会の紹介でNPO法人エコピースが行うタイでのボランティア研修に参加しました。
現地のストリートチルドレンの保護施設を訪問し、仲間と一緒に健康診断や食事前の手洗い・怪我をした時の創部洗浄の大切さなどについて保険指導も実施しました。
また、エコピースが日本から持ち込んだ中古心電図計の授与式にも参加しました。
現地では言葉は通じませんが、ジェスチャーを交えて笑顔でコミュニケーションを図ったり、子どもたちの横で添い寝をしたりし、十分に交流が図れたと思います。
タイには、路上で物売りをしたり、売春したりする両親の不明な無国籍の子どもたちが数多くいます。
保護施設は圧倒的に数が足りず、タイ政府も子どもたちに対応しきれていません。
同じ子どもでも、笑顔で目が輝いている子どもたちがいる一方、幼くして労働を強いられ、その日暮らすのが精いっぱいの子どもたちがいるのは、胸に迫るものがあります。
子どもの保護という日本では当たり前のことが、異国では当たり前ではないのです。
ボランティアとは「社会に無償で奉仕すること」。
しかし、その語源は火山だという説もあります。
沸々と湧き上がる火山の噴火のように、心の奥深くからこみあげてくる衝動に駆られて行動することこそ、ボランティアであると私も思います。
今回の研修で、本当の貧困を目にし、徳洲会の理念「生命だけは平等だ」の尊さを再確認しました。
また、今の自分の日常に感謝し、大切にしたいと思えるようになりました。